ガスには法律による保安規制がある。
LPガスの保安について
都市ガスもLPガスも、今や自由に価格を決められます。しかし、可燃性ガスであり場合によっては高圧ガスですので、ガス事業法、高圧ガス保安法、液石法の各保安規制を受けます。
都市ガスであれば、ガス小売事業者等が、LPガスであれば、販売事業者が一般消費者が所有又は専有する施設や機器について、技術基準に適合しているかを調査する義務を負っています。
・都市ガス→ガス事業法
・LPガス(民生用のみ)
→液石法
その他、様々な保安業務を行う義務を事業者は負っています。
LPガスの法律に基づく、販売事業者が負う保安業務をまとめると、
1.供給開始時点検
2.容器交換時点県
3.供給設備点検
4.消費設備調査
5.周知
6.緊急時対応
7.緊急時連絡
また、ガス契約時には法14条書面を交付します。
役所に対しては、販売事業登録、保安機関認定(5年毎更新必要)、保安業務を行う対象となる一般消費者が増加する見込みならば、増加認可申請、バルク貯槽や大きな貯蔵施設(ボンベ庫)を設置するときは、設置許可申請を行います。
上記の1~7の保安業務を行うためには、自ら保安機関として認定を取得するか、他の保安機関に委託する必要がありますが、委託する場合は、当然その分の経費が発生します。
ガスの保安について、一般消費者の自己責任にして、保安規制を撤廃すべきだという議論は、まだ聞いたことがありません。
保安経費はいくら掛かっているか。安くできないのか。
阪神大震災では、電気火災による犠牲者が多く発生しました。
東日本大震災では、福島第一原発の事故で、多くの方が故郷を離れなければならなくなりました。
しかし、都市ガスやLPガスによる大事故は近年発生しておらず、事故による犠牲者は近年ほとんど発生していません。
その最大の理由は、マイコンメーター、及び安全装置付ガス器具の普及と丁寧な開栓・閉栓作業にあります。
ガス器具や配管からガスが一定量漏れれば、マイコンメーターが遮断します。また、感震遮断機能もついており、震度5弱以上の地震で、ガスを遮断します。(復帰操作は誰でも可能。)また、Siセンサーコンロや不完全燃焼防止付き給湯器が普及したため、CO中毒事故や爆発火災事故がほとんど無くなりました。
また、大地震等により、ガス漏れの恐れがある場合は、保安業務資格者が1軒1軒閉栓に回り、安全が確認されれば、同じく1軒1軒開栓に回ります。
一方、電気は、感震ブレーカーによる地震対策が進められていますが、停電からの復旧は一瞬で行われるため、短絡等による火災が未だ懸念されています。